ヨーグルトをたらふく食べたのがいけなかった。
俺は男なのに、お通じがよくない。だから早朝の乳酸菌摂取が生命線なのだ。
その日は早朝に要件があり、厠に行く間もなく始発列車で仕事に出た。
始発だけあって乗り換え駅までは楽々座ることができた。
問題はその先だった。
立ったままの姿勢というのは腹に響く。第一次発作が来た。
俺的には、通じが来るというのは滅茶苦茶うれしいことだが、場所が場所だ。
また、乗車中の私鉄の急行にはトイレ車両がないときている。
とても終着駅まで持ちそうにない。仕方なく途中駅で下車し事無きを得た。
次の電車がホームに入ってくるのが見えた。DASH!これがまたいけなかった。
飛び乗って出発して数分後、第2波が来た。刺激で直腸が煽動したのだ。
俺の便秘というのは神経性のもので、硬派の次は軟派がくることがある。
ゲーリーってやつだ。こいつが毒性が強い。通常1分と我慢できない。
次の駅まで7分は掛かる。
全身から血の気が引き、下腹部にはアイスピックが突き刺さる。
血が引いたせいで、顔面蒼白だったに違いない。
列車の窓にはそんな自分が映っているはずだが、見る余裕は無い。
苦痛にうめきつつ俺は猛烈に後悔した。何でDASHなんかしたのか?
もう一本見送って様子をみればよかったじゃないか?
それもこれも所詮後の祭りなのだ。
少しでも気を緩めるとSPPPPPPP!SP!SPPPPPPPPPPPPPP!と逝きそうだ。
齢30を過ぎて人間をやめるのか?どうする?どうする?!
血の気は更に引く。もう1分も我慢できそうに無い。
当日は最後尾車両に乗っていた。車掌さんは車掌室にいる。
止めてくれ!と頼もうと思えばできる。俺、どうする?
そんなこと出来るのか?電車を途中で止めるとえらい賠償請求がくるのか?
仮に途中駅で止まってくれたとしても間に合いそうも無いぞ!
持ってあと30秒!
顔が苦痛に歪む。全身が悲鳴をあげている。
勘の鋭そうな女性乗客は俺の異変に気づいていた。
「あっ、あのひと我慢してる。しかも大ピンチ?」
もう他人にも隠しきれていないのだ。もう駄目だ!ああ俺は人間じゃなくなる!
俺は人間をやめるぞ!いや、まてまてまて!待てねえ!待て!
ぎゃあああああああああああああ、もう駄目だ!
その場に正座するようにしゃがみ込んでしまった。
***
限界の30秒が経った。俺はどうなったのだろうか?
不思議なことに発作が徐々に収まっていくのが分った。
揺れる列車で二本足で立って踏ん張るという姿勢が
下腹部への負担を加速させていたのだ。
苦痛は相変わらず続いているが、数分程度は持ちこたえる苦痛に軽減した。
目的駅に到着。事無きを得た。仕事にもギリギリ何とか間に合った。
それにしても間一髪で免れた絶体絶命のピンチだった。
出典:先週の出来事
リンク:みなさま大変失礼致しました
列車内で絶体絶命のあの苦痛
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