昨日、私は死にました。
あなたは私が死んだと知ったとき、
布団に頭をぶっつけて、
シーツをしわくちゃにつかみながら泣いていましたね。
私はそれを後ろから見ていました。
私も泣いていました。
私も死にたくなかったのです。
あなたの泣いている後姿を見て、私は抱きしめたくなりました。
抱きしめようと手を広げ、
あなたをつかもうとしたとき、
私は手をすかしてしまいました。
私は悟りました。
ああ、死んでいたんだ。そうだった。
あなたをもう抱きしめることはできないんだ。
あなたともう笑いあうことはできないんだ。
あなたと一緒に泣くことさえできないんだ。
私は死んでから改めて、
自分を大切にしてくれる人の大切さを感じました。
私は死んでから改めて、
人を失うことの絶望感をしりました。

ただ、あなたはいずれ泣きやみ、立ち上がり、現実に立ち向かうでしょう。
でもそこでまた、現実という壁が再び立ちふさがるでしょう。
そんな時はあえて私を思い出してください。
私を強く思い出してください。
私との楽しかった思い出を思い出してください。
うまく言葉にできないけど、それがあなたの武器となり、
現実という壁のシールドをぶち破るのです。
その壁の向こうには、
あなたの華々しい人生があるでしょう。
あることを願って信じています。

最後になりましたが、何時も私を愛していてくれてありがとう。
私はあなたを忘れません。
次に生まれ変わるときにはセミになって帰ってきます。
うるさいセミです。夏を運ぶのです。
近所にやたらうるさいセミがいたら、私でしょうね。

本当に最後です。
私はもう行かなければなりません。
いままで、ありがとう。
セミになって、またあなたに会いに行きます。

出典:お盆に泣くセミは
リンク:こういう理由でうるさく泣くのかもしれません。