俺と兄は15も年が離れている。俺が4つの時に父が脳溢血で死に、後を追うように母も死んだ。
それから兄は俺のためだけに生きてきた。

一流といわれる大学に通っていたのに、学費が高いからと辞めて、働き始めた。
だけどどんな時でも6時に起きてご飯と弁当を作ってくれたし、夕飯のために帰ってきて、また出て行った。
誕生日やクリスマスにはお手製のケーキでお祝いしてくれた。

寂しいと泣きわめいたときは頭をずっとなでてくれた。
学校の行事には全部参加してくれた。
休日には公園で遊んでくれた。夏休みには海にも泊りがけで連れて行ってくれた。
中学生になった時、買ってくれた携帯電話には一日5回は着信やメールが来た。
反抗期でひどいことばかり言う俺に文句一つ言わず、黙って受け止めてくれた。
「俺の代わりだ」と言って高校も大学も私立に行かせてくれた。
俺の大学卒業を知らせに二人でお墓参りしたときに、初めて泣いたのを見た。
二回目に泣いたのは俺が結婚するって報告した時、三回目に泣いたのは結婚式の時だった。

そんな兄もこの間ようやく結婚した。相手は兄の大学時の同級生。
兄に告白したが、俺がいるからとその時は断られたそうだ。
だけど、彼女はあきらめず俺が社会人になるまで待って、強引に兄に逆プロポーズしてくれた。

こんなこと言ったら、本気で怒られるだろうけど、
両親が死んでからの兄は、俺のために金も時間も恋も趣味も出世も、全てを犠牲にしてきた。
そんな兄がようやく自分のための幸せを手に入れたのが嬉しかった。
だから彼女に何度も頭を下げて兄のことを頼んだ。彼女は笑って引き受けてくれた。
それがすごく嬉しくて子どものように泣いた。

兄さん、俺は世界で二番目以下でいいです。誰よりも幸せになってください。
馬鹿な弟の、心からのお願いです。




これも書いておきたいけど、兄の嫁は美人で性格も抜群にいい。

大学を中退した時はただの友達だったけど、10年前に仕事の席で偶然再会した。
それでプライベートでも話しているうちに、兄にほれ込んで告白したそうだ。
で、その時はふられたけど、俺が社会人になった日に再度告白した。
よく10年も待てたねと言ったが、最高にいい男だからどうってことなかったと笑っていた。

ちなみにその時の告白のセリフもなかなかのもので、「今日からは私を幸せにしなさい」だったとか。
「あの人、今度はあなたが幸せになりなさい、なんて言っても聞かないでしょ」と言うあたり、
自分より人のことを気にする兄の性格をすごくよくわかってくれている。
彼女なら、きっと兄を幸せにしてくれると思う。

年末は兄弟夫婦4人で温泉に行く予定だ。
酒飲んでゆっくりしてもらって、「兄貴の弟でよかった」ってきちんと言おうと思ってる。

つまらん文章に付き合ってくれて、ありがとう。

出典:2ch
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