TOP
←1前 ↑2先頭 3次ページ→

「だからね...ちゃんと付き合って欲しいの」
「ぼ、僕でいいの?」
「Sくんじゃないとイヤなの」
「だって、噂ではいろんなヤツから告られてるって聞いたけど」
「私がSくんに彼氏になって欲しいのは理由があるの」
「え?理由?」
「うん、それは絵の才能なの」
「絵の...才能?」
「Sくんって絶対に私が描けない絵を描くの」
「そう?N江ちゃんもそうとう上手だと思うけど」
「ううん、持ってる才能が違うの。私なんて全然かなわないの」
「そうかなあ」
「Sくんの絵って、見る度に学べるものがあるの」
「そう?」
「私ね...最初はSくんのこと尊敬してたんだけど」
「そ、尊敬?」
「そのうち、それが...好き...って気持ちになったの...」
「そうなんだ...」
「だから...ね、Sくんじゃないとイヤなの」
「あ...ありがとう...でも僕、スケベだし」
「いいの...そういうところも...好きなの」
「...ありがとう」
「それに...」
「それに?」
「私も...かなりエッチな方だし...それを知ってるのSくんだけだし...」
「あ、そうか。そうだね」
「それに...」
「それに?」
「言い寄って来た男子に、彼氏いるってちゃんと言えるし」
「でも、それ誰だよってことにならない?僕、ボコボコにされるんじゃ...」
「大丈夫。Sくんとのことは絶対内緒にしておくから」
「ああ...それならいいよ」
N江とちゃんと彼氏彼女の関係になった僕は
すっかり有頂天になり毎日がバラ色でした。
木枯らしが吹く季節になった頃、
気が付くと僕は身長が一気に伸びていました。
すっかり寒くなったある日、
帰宅前、学校の玄関でN江とバッタリ会いました。
「ねえSくん、一緒に帰ろ」
「ん?ああ、N江ちゃん」
制服姿でマフラーを巻いたN江はテレビで見るアイドルよりも
ずっと可愛く見えました。
「Sくん、すごい背が高くなったね」
「うん、ヒザが痛いんだ」
「もう、私と20cmくらい違うんじゃない?」
「そう?20cmも違わないと思うけどなあ」
「すごくカッコよくなったし。私の自慢の彼氏だよ」
「いやあ、ハハハ。ありがとう」
「ねえ...よかったらこれから私のうちに来ない?」
「いいの?」
「うん、来て来て」
「じゃあ、遠慮なく」
N江の家はいつも
←1前 ↑2先頭 3次ページ→
TOP