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ルの権力では、なかなか今の状況では無理なんだよ。
 そもそも寺田さんに弱みがないし・・・」
「そうかなぁ」と高野が疑問符を顔に浮かべた。
「大メーカー様のお力があれば、なんとかなるんじゃない?
 今のご時世、零細企業なんか何所も大変だと思うよ。
 寺田鍛造だって、かなりヤバイはず」
「そ、そんなもんだろうか。
 まあ、それじゃあ、寺田鍛造さんに、一度お邪魔してみるよ」
そんな風な流れで俺は有限会社寺田鍛造へ行ってみることにした。
噂の美女を生で拝むのも悪くはない。
完全に邪な目論見のためだ。
村松の言うことだから、話半分、いや話3分の1程度に思っていた。
しかし、実際に寺田鍛造で専務である社長の奥さんを見た瞬間、
俺はあまりの衝撃に持っていたカバンを落としてしまった。
美しかった・・・
遠目にもスタイルの良さや、色白で清楚な凛とした雰囲気がはっきり分かった。
しかも、ただ顔が整っているというだけでなく、
Tシャツ姿で汗だくになりながら男に混ざって、ドロドロに溶かした熱い鉄を鋳型(いがた)に流し込んでいる姿が、妙に艶めかしく色気があった。
すげえ。
俺はTシャツを大きく盛り上げる豊満な膨らみに視線を釘付けにしながら、
股間を熱くさせていた。
早く間近で見てみたい!
元請けの傲慢さから、挨拶も後回しで、勝手に工場に立ち入っていたというのに
慌てて名刺を片手に「ご挨拶に伺いました」などと自分から挨拶をしていた。
邪な見学だけのつもりだったので、当然、何も資料など用意はしていない。
それでも俺はこの美貌の人妻ともっと縁を繋げたいと考え
急遽、取引の話をすることにした。
予想以上だった美貌の人妻を前にして、
緊張で汗を流しながら、必死になって業務の説明をすると
その甲斐あってか、いや、高野が言った通り、業績が芳しくないのだろう。
拍子抜けする程あっさりと寺田鍛造は、俺の話に乗ってきた。
元々村松の居る子会社に口座を持っていたこともあって、話はとんとん拍子で進み、
なんと!すぐに取引を始めることになってしまった。
そして、
「始めたばかりなので、様子を見ていってきます!」
上司にそう言って、俺は寺田鍛造へ通うのが日課になった。
もちろん美貌の奥さんに会いに行くためだ。
行けば必ず俺は「現場を見たい」などと、もっともらしいことを言って
あの奥さんのTシャツ姿を眺め
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