会社に「ゴリ」と呼ばれている先輩がいる。 顔も体格もゴリラそのもの。いかつい顔にゴリマッチョな体は、初対面だと99%の人がびびるくらい。その上、仕事中は真面目で寡黙なので、新入社員の頃は死ぬほど恐ろしい存在だった。 ある日、ゴリ先輩が自分の携帯をスピーカーフォンにして取引相手と話していた。会話が丸聞こえだったので、皆の視線がゴリ先輩に集中していた。会話が終わると、ゴリ先輩は「スマンスマン。受話スピーカーが壊れてしまったんで、スピーカーフォンにしないと相手の声が聞こえないんだ。今日中に携帯ショップ行ってくるから」と誰に言うわけでもなく言い訳していた。 その日の昼休み、ゴリ先輩の携帯に電話がかかってきた。どうやら相手は奥さんのようだった。プライベートが謎に包まれたゴリ先輩の会話に、皆興味津々だった。ご飯を食べたりしながらも、皆の神経がゴリ夫妻の会話に集中しているのを感じた。 奥さんの声は非常に可愛い感じだった。ゴリ先輩の奥さんは美人だという都市伝説的噂話はあったものの、その信憑性を感じさせる程の素敵な声だった。ますます皆の集中力がUPする空気を感じた。 ゴリ先輩は、そのような周囲の空気に影響されることなく、淡々とそっけない会話を続けていた。会話内容は特に大したものではなく、そろそろ会話が終わりそうだったので、周囲は「つまんねー」という雰囲気になりかかった瞬間、奥さんから驚きの一言が・・・ 「ねぇ、たーちゃん♪今日は早く帰ってきてね♪」 それを聞いたほぼ全員が、ぶふぉ(;゚;ж;゚; )となった あのゴリラが、奥さんに「たーちゃん」と呼ばれているなんて、想像するだけでも死にそうだった。しかし、本当に死にそうになったのは次の奥さんのセリフだった。 「今日もいっぱい子作りしようね。今日もたくさん中に頂戴ね♪」 その瞬間、オフィスは衝撃と殺意と嫉妬とエロスと煩悩の渦に包まれた。ゴリ先輩は慌てて電話を切り、きまずい静寂が訪れた・・・。その空気を破ったのは部長だった。 「おい、たーちゃん。確か奥さんの写真があったよな・・・。ちょっと見せてくれないか、いや、見せなさい!」 部長の声をきっかけに、他の先輩社員もゴリ先輩のデスクに行って無理やり写真を没収。まあ、部長も笑っていたので和やかな、正確には生暖かい空気だった。 しかし、写真を見た社員は一人残らず驚きの声をあげ、顔がひきつらせていた。見せられた俺も思わず叫んでしまった。写っていたのは、まぶしいくらいの美女、というよりも美少女だった。 「お前、誘拐したらダメだろう!」と妬み半分の社員の猛追及により、相手は近所の5歳下の幼馴染で、昔から「お兄ちゃん」→「たーちゃん」と呼ばれていたことが判明した。 色々と羨まし過ぎて死にそうになった。 出典:オリ物 リンク:おりもの |
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