図書館で会った子 (恋人との体験談) 166126回

2006/08/29 16:47┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:らいぶらりー
別にえっちぃ出来事は出てこないかもしれませんが書かせてください。
僕は大学生で最近女子高生の子と知り合いました。

その日僕は課題のレポートのため、参考書を求め図書館に行きました。
細かい字ばかりでげっぷの出そうなぶ厚い参考書をいくつか手に取り、
一人用の机でレポートをやろうとしたんですが生憎全て使われてまして
一般のテーブルで取り組みました。

それで黙々とレポートを書いていると隣に女子高生が座って来たんですよ。
チラッと見ると長髪の少し茶髪がかった今風な綺麗な子でした。

こんな子が彼女になったらなーと思いながらもレポートを再開しました。
参考書ほとんど丸写しでしたがレポートを書き終えて
しばらくボケッとしていました。彼女の方を見てみると、
彼女も参考書らしきものを見ながらノートに何やら書いてました。

宿題でもしてんのかなーと思いその本を見てみるとそれは
人体デッサンと漫画の描き方講座?見たいな本でした。
しかもノートを見てみると漫画のコツみたいなものを書き出した
マル秘ノートみたいで絵がべらぼうに上手でした。

実は僕はとある美大に通っている身でして、2年通っている僕よりも
遥かに上手で正直ショックでした。
まあ、それほどたいした腕ではないんですが。

が、それよりもこんな子でも漫画とかに興味あるんだなーと思い
ちょっと意外な感じがしました。人は見かけによらないものですね。

僕も絵を描いている端くれとして
ちょっと彼女に小声で話しかけてみました。「絵上手いですね。」
と言うと、彼女はちょっとビックリしたみたいで、ノートをちょっと
隠しましたが遠慮がちに笑いながら小さくお辞儀しました。

美大生で自分も絵を描いている事や、漫画の事など話したんですが
やっぱり漫画を描いているのを見られるとオタク系とかと
思われるのが嫌なのでしょうか。彼女は遠慮がちに笑うだけで
何だか僕が邪魔そうでした。

しょうがなく僕は少し落ち込みながらも最後に「がんばって下さい。」
と言って図書館を出ました。

それから何日か経ってまた図書館へ行きました。
別に彼女目当てで行った訳ではなくて、小説を読みに行ったんですが
そこでまた彼女に会いました。僕のこと覚えているか不安でしたが
目が合った時彼女からお辞儀をしてきてくれました。
またもや遠慮がちにですが。

嬉しかったんでまた話しかけてみたんですが反応は薄く会話は
直ぐに途切れました。仕方なく小説のコーナーに行ったんですが、
どうやら彼女も小説を読みにきたみたいで無言ながらも一緒に
読みたい本を探して無言ながらも隣どおしで読み始めました。

今までに感じたことのない変な雰囲気でした。
ていうか気まずさ100%でした。
こんなに絡みづらい子は初めてでしたが、でも本当に可愛い子でして
彼女となんとか仲良くなれないかと思いました。

それからも僕は図書館に通って彼女に会いました。
会う度、弾まない会話を展開させましたが
がんばって話しかけました。そのせいか最近になってようやく
彼女と仲良くなってきました。


彼女との仲が深まった決め手は彼女の名前でした。
最近やっている某ヒーロー番組の主役と同じ名前で、
僕はその番組が結構好きだったのでその事について彼女に話してみたら
彼女もその番組が大好きだって事ですっかり意気投合したのが
決め手でした。

今まで沈んだ会話ばかりでしたが、初めて会話が盛り上がり、
満面の笑顔で彼女が笑ってくれたのが本当に嬉しかったです。

もっと普通の会話から仲良くなっていくと思いましたが、
こんな会話から仲が深まっていくとは予想外でして
やっぱり一味違う子だなと思いました。

それからの僕は毎日(平日だけですが)図書館へ通いました。
彼女もほぼ毎日来てくれて二人で図書館の外のベンチで
喋っていました。

会話の内容はほとんど漫画の話しでしたがもう全然OKでした。
こんなに可愛い子と親密になれて、さらには毎日会っていい雰囲気の中
彼女と喋れる事がとても幸せでした。

もしかするとこのまま行けば、彼女と付き合うことが出来るかもしれない。
そんな淡い妄想を膨らませていましたが現実そうもいきませんね。

いつからか彼女との会話が途中で途切れる事が多くなり、
ぎこちない雰囲気が流れるようになりました。

彼女が一生懸命喋っていると急に思い出したように彼女は
元気がなくなり、あまり長く話さないようになり、
そうなると僕だけが一方的に喋っているみたいで
気まずい気分になりました。

なんで彼女が喋らなくなったのかわかりませんでした。
もともとはつらつとした感じの子ではなかったんですが、
それでも前までは本当に楽しそうに喋ってくれてたので、
何か僕に原因があるのではないかと思いましたが
全く思いつきませんでした。

もしかして僕に愛想を尽かしてしまったのでは
ないかと思うと少し落ち込んできました。

とにかく、こんな関係が続くのは嫌だったんで
彼女に思い切って聞いてみる事にしました。
しかし、僕が切り出す前に彼女の話から展開してきました。


その日いつも通り彼女とベンチで喋っていました。
彼女になぜ喋らなくなったのか尋ねようとタイミングを計っていましたが、
なんだかその日は会話が結構弾んでいたものですから
なかなか言い出せませんでした。

しかし、暫らく話していると彼女は少し俯いて黙り込みました。
僕が「どうしたの?」と言うと彼女は不安そうな声で、
「あの、私と喋っていて楽しいですか?」と聞いてきました。

僕は「?」って感じだったんでどういう意味か聞いてみました。
彼女は、あたしは口下手だし漫画のことしか喋れない、
Nさん(僕の名前です)があたしのことを暗い子だとか思っているのでは
ないか気になっていたと言いました。

僕はそんな事は思っていない、Hちゃん(彼女の名前)と喋っていて
楽しいし、別に暗い子なんて思っていないよと言いました。
彼女は本当ですかと聞いてきたんで、
僕は本当です、それにHちゃんのことが嫌いだったら毎日会いになんか
来ないでしょと返しました。

彼女は、「あ、そっか、そうですよね。よかった・・・。」と、
笑いながら言いました。その後僕らは少し喋ってその日は別れました。
僕は彼女が喋らなくなった理由が分かって、これでまた今まで通り
楽しく喋れると思うと安心しました。

しかし、翌日彼女は図書館に来ませんでした。
やっぱり僕と喋るのが気まずくて嫌なのかとガックリしました。
一応毎日図書館に通いましたが、彼女と会ったのは一週間後ぐらいでした。


久々に会ってみた彼女はめちゃくちゃブルーでした。
僕の目には彼女に纏わりつく負のオーラがはっきり見えました。
もう本当にそのくらい彼女は落ち込んでいました。

とりあえず彼女をベンチに座らせてどうしたのか聞いてみました。
彼女は死にそうな瞳でぽつりと言いました。
「あたし学校へ行くのが辛いんです。」
もしかしてイジメに遭ってるの?と聞くと彼女は横に首を振りました。
じゃあ何が辛いの?と言うと、彼女は静かに喋りだしました。

「あたし友達がいないんです。いないって言っても、本当に親身な友達
がいないっていう意味で、うわべだけの付き合いの友達しかいないんです。」
彼女は話を続けました。

「あたしこの前Nさんに口下手で漫画の事しか喋れないって言ったでしょ?
テレビは全然見なくなったし、流行物とかにも興味ないから
うまく人の会話に入れないし、入ってもあたしが気まずい雰囲気に
しちゃうから喋れないんです。だから自分から一線引いちゃって・・・。」
彼女をチラッと見ると悲しそうに笑っていました。

「前はこんなんじゃなかったんですよ。中学の時は普通に喋れたし、
仲の良い子は沢山いました。けど中学って上中下ってランクがあるでしょ?
可愛い女子、かっこいい男子は上で、オタクとかマニアっぽく見られる人
は下って感じで。」
僕の当時はそんなのなかったんですが何となくイメージできました。

「あたしはその時中の上らへんにいたんですよ。だからそれなりの毎日が
送れたし結構充実してました。でもね、ある日友達と話してて
ふと気づいたんですよ。会話の内容のほとんどがあいつキモイとか、
ウザイとか、そんな話ばっかりだって。
それにちょうどその時あたしのいたグループで仲間はずれに
なった子がいたんですよ。

その子はすごくわがままだったんでみんなでシカトしたり、
その子になるべく関わらない様になったんですが、その時から会話の
話題はほとんどその子の事で、あいつウザイとか、消えて欲しいとか、
どうやってあの子から逃れようかとかそんな話ばっかりで。

だからその子は自分が嫌われている事に気づいて自分からグループを
離れていったんです。それでその時思ったんですよ。
あたしもいつかこうなるんじゃないかって。あたしがマンガ好きな事
みんなに知れてないから、もしその事がばれたら今度はあたしが
オタクとかキモイとか陰口言われてグループから外されるんじゃないかって。

そう思うとすごく不安で、あまり喋らなくなったんですよ。
悪口言うのも嫌になったし、他の事も喋れなくなったし。
その頃から人付き合いが下手になっていったんです。

高校生になったらそれも変わるかなって思ったけど、相手のことが
気になっちゃって相変わらず喋れないし、人といると疲れるだけだし。
ほんと、毎日が辛いです・・・。」

彼女は一通り喋ると、「すみません、こんな話引きますよね。」と言って
謝って来ました。僕は慌てて、「や、そんなことないよ。」と
返しましたが、ぶっちゃけ思いっきり引いてました。

まさかこういう子だったなんて思ってもいませんでした。これからも会い
続けるのには気が引けてましたが、でもこのまま関係を終わらせたら、
尚更彼女は喋らなくなるだろうなと思いました。

もしかしたら彼女と付き合えるかもなどと、あほな事しか考えていなかった
自分が情けなく思えました。そして僕はふと決意しました。
「じゃあ、僕と友達になってよ。」

暫らくの沈黙の後僕がそう言うと、
彼女が「え?」っていう顔で僕を見ました。
「前にも言ったけどHちゃんといると楽しいし、
もっとHちゃんと仲良くなりたいからさ。
それに嫌なことがあったらオレに構わず言ってよ。
ちゃんと聞くから。」

そう言うと彼女は照れながらも
「ありがとうございます。」と言って顔を綻ばせていました。
耳が赤くなっていて可愛かったです。

当初は付き合う目的で親密になろうとしましたが、
路線変更で彼女の大事な友達になることに予定を変更しました。
今の彼女には恋人とかよりも頼りになる友達をつくる方が大事なんじゃ
ないかと思いましたもので。

まあ、これはこれでいいかなと。


彼女と友達になってからも毎日図書館(のベンチ)で会いました。
彼女は毎日、僕に悩み事を吐き出しました。
僕は彼女に勇気付ける言葉が見つからなくて聞いてあげることぐらいしか
出来ませんでしたが、それでも彼女は、

「聞いてくれるだけでも気持ちがすごく楽になる。」
「ずっと本音の言える友達が欲しかった。」
「Nさんと会うとまた明日がんばろうっていう気になれる。」
などと笑顔で言ってくれました。

彼女と親密になってまだ短いですが、
以前よりも彼女は笑顔でいることが多くなりました。
特に友達宣言してからは、笑顔が絶えなくなったし、
携帯の番号を交換した時も、彼女がすごく嬉しそうにニコニコしていて
感情がモロに出ていたものだから、こっちも照れ臭くて
ニコニコ笑ってしまいました。

それから休みの日も彼女と会うようになりました。
一緒に買い物したり、映画を観に行ったりしましたが、
さすが漫画に精通しているといいますか、
買い物は画材や本(主に漫画や小説)、映画は某人気ロボットアニメ
などを観に、あまり女の子と一緒に行かないような所へ行きました。

まあ、それはそれで楽しかったから良かったんですけどね。

Hちゃんとの友情は確実にめきめき上がっていましたが、
僕の方は彼女にどんどん惹かれていく一方でした。
今まで付き合っきた女性(二人)とは正反対にあたる子でしたし、
僕が生きてきた中で一番可愛いく、一番魅力的な子でもありました。

二十歳になってようやく初恋か?ってほど彼女が気になりました。
ですが、彼女にとって僕は友達という存在であり、
それ以上の存在には多分なりえないだろうなと思いました。

もし告白したとしても、それでふられて、また以前のような
ギクシャクした関係に戻るのは怖かったですし、
今の関係に十分満足している自分がいました。

なのでこのまま初恋にして初失恋ってことで、ほろ苦い思い出の
1ページにしまい込むことにしました。

映画観に行った帰り道、俯きながら恥ずかしそうに、
「あたし、Nさんと出会えて本当に良かったです。」
と言ってくれた彼女がなんとも可愛くて、嬉しくて。
でもちょっと寂しく感じている自分がいて。


毎日彼女と遊ぶようになって友達関係は以前のままですが、
Hちゃんとはかなり仲良しになりました。

互いに好きなバンドグループ限定でいい唄をお勧めしあったり、
重力や引力について真面目に語り合ったり、
霊や宇宙人は本当にいるかなど、話のプレバリューも増えました。
(でもなぜか語ることはマニアック。)

それからマック・ロッテリア・モスバーガーのどれが一番うまい店か
食べまわったりしました。結果的にテリヤキバーガーはロッテ、
ポテトはマック、店の雰囲気はモスがいいなどと、
部門別の評価に変わっていましたが。
次はマイベストラーメン屋を決める予定です。

あと一緒にカラオケに通う様になりました。彼女の方から誘ってきて
くれたんですが、僕はすごく音痴で最初はちょっと拒んだんですが、
彼女から誘ってくれたのは初めてだったんで渋々OKしました。

彼女は意外なことに唄を歌うことが好きみたいで、
お気に入りの曲を入れて結構ノリノリで歌っていました。
すごくイキイキしていてキャラが変わっていました。
僕は少々呆気にとられてましたが、
これはこれでかわいいからよし!!としました。
でも、こんな彼女は見たことない。

彼女は歌い上げ、余裕で高得点を出していました。
そしてこなくてもいいのに僕の番がきました。
彼女が「期待してますよ。」みたいな顔つきので僕を見つめていましたが、
本当、勘弁して欲しかったです。

僕は精一杯歌いました。精一杯歌いましたが案の定、
全くあっていない音程とやたら裏返る歌声に笑われてしまいました。
彼女は「ジャ○アンだ!」「こんな身近に生息してたんだ!」と言って、
御腹がよじれるほど笑っていました。
こんな彼女は見たことない。

僕が歌い終わっても彼女は、
「ごめんなさい」、「すいません」と言いながら笑い転げていました。
ここまで音痴だと逆に惚れ惚れしちゃいますねと、
真剣な顔つきで言われましたが、そうですか、としか言い様がありませんでした。

そんなこんなで僕の音痴を直すため、週に一回はカラオケに
通うことになり、彼女と一緒に歌い続けました。
彼女はすごく楽しそうに教えてくれましたが
僕はとてもしんどかったです。

こんな感じでほぼ毎日会っては遊んでました。
会っているうちにふと気づいたんですが、
彼女は一度気の許した人には素の明るい自分が出せるみたいなんです。

本人が中学の時は明るい子だったと言っていたんで、
それはそれで当然なんですが、それを高校で出せないかと
言ってみたんです。

僕と話しているみたいにやってみれば
絶対嫌われることはないから大丈夫だよと。
しかし、どうも彼女にはそうなる勇気がないみたいで、
「怖くて出来ない。」と落ち込んでしまいます。

そりゃあ、そんな簡単に出来たらこんなに
悩んでるわけないでしょって事になるんですけどね。



Hちゃんと毎日会って充実した日々を過ごしてきた僕ですが、
日に日に募る彼女への想いがどうしても抑えきれず、
思い切って告白してみようと決心しました。

しかしもし断られたら
その後の関係がどうなってしまうのかと思うと、
とてつもなく不安で行動に移せませんでした。

それで1人で悩んでいてもしょうがないと思ったので、
僕の親友っていうか腐れ縁的な関係のMに相談してみました。
ちなみにMは女の子です。

僕は昔から親密な関係になるのは男子よりも女子の方が比較的に
多く、何となく女子の方が楽に会話出来ます。
でも悲しいことに、そこからは絶対に恋愛には発展しませんでしたが。

Mは僕とは違う大学に通っており、
メールや電話はしょっちゅうしていましたが、
ここ数ヶ月はお互い忙しくて会っていませんでした。
なので、相談事のついでに久々に会ってみようとMに電話してみました。

「もっしもーし、ただいまテストと課題の嵐で死ぬ寸前のMでーす。」
と、やたらとハスキーな声のMが出てきました。
僕はとりあえずシカトして、久々に会えないかと尋ねてみました。

するとMはわざとらしく「チッ。反応なしかよっ。」と言い、
課題手伝ってくれるなら会ってもいいよと返してきました。

僕はそれもシカトして、「じゃあ、今週の土曜にうちに来て。」と言うと、
「えー、それじゃー意味ないよ、課題今週の金曜までなんだから。」と、
不満たらたらな返事が返ってきました。

「Nはテストとかないの?」と聞かれましたが、
死にたくなるほどはないよと返すと
「うわっ、N君うざっ、うざ男じゃん、うざ美大生、うざ美君。」と
八つ当たり(?)されました。

とりあえずMと土曜日に会う約束を取り付けましたが、
「めんどくさいからNがうちに来てよ。あとマックのハッピーセット
買ってきて!今のおもちゃがおじゃ○丸でね、
それの子鬼トリオのおもちゃが超カワイーの。だからそれたのんできてね。
絶対買ってきてよ。買ってこなかったらうちに入れないから。」
ってことになりましたとさ。


土曜日、マックのハッピーセットを買ってMのアパートに行きました。
チャイムを押すとMはすぐ出てきて、
「マックは?」と笑顔で言ってきました。
久々に会ったのに第一声がそれでした。

僕の手に持ってるマックの紙袋を見つけると
「やったー、Nちゃん大ちゅき!ありがとねー。」
と、ルンルン気分なMでしたが、半分しか形のないハンバーガーを
見ると怒りだしました。

久々にMと会って色々と世間話をしていましたが、今日はただ遊びに
来たわけじゃないので早速本題に入りました。

僕はHちゃんの性格や、知り合ってから好きになった成り行きまで
簡単に説明しました。するとMは不審な眼で、
「Nってさ、女子高生とか趣味だったの?実はロリコン?」
と言ってきました。僕は即否定しましたが、
案外そうかもしれないと心の中では否定しきれませんでした。
この子に相談したのは間違いだったかな。

とりあえず彼女にとって僕はどんな存在に位置しているのか、
告白しても大丈夫かMに伺ってみると、
「まあ、とりあえずは友達の位置にいるんじゃない?Nが友達になって
くれって言ったんだから。告白はまあ、やってみれば?」
マックのおもちゃをいじりながら、淡々と言われました。
僕はもう少し考えて喋ってくれよと怒ると

「だって、あたしと正反対に位置する子であんまりわかんないんだもん。
てかさー、仮にその子がNのこと好きだったとしても
Nが友達って銘打っちゃったから、その子も友達としてしか
あんたと付き合えないんじゃないの?

そのネガティブ子ちゃんから告白なんかしてくるわけないし
Nが行動を起こさない限り関係が発展するわけないじゃん!ばかじゃん!

ふられた後の関係が嫌だったら好きにならなければいいじゃん!
誰だってふられた後の関係は気まずいに決まってるでしょ!
そんな後のことなんか考えてないでさっさと告っちゃえ!
告ってふられろ、このネガティブ男め!」

逆ギレされました。ネガティブ子ちゃんと振られろは余計でしたけど、
彼女の言っていることは確かに的を射ていたんで素直に認めました。
その後来週末までに告白することを無理やり誓わせられましたが、
Mなりに応援してくれているのかと思うと嬉しかったです。
やっぱりこの子に相談して良かった。

Mはその後も僕の前の彼女の時もそうだったとか、
あたしだったら速攻で告白するとか僕が帰るまで
エンドレスに喋っていました。

帰り際にMが、振られたらあたしが貰ってあげるよと言ってきたんで、
僕は丁重に断ったんですが、Mは怒って部屋を追い出されるかたちで
退出しました。最後に告白する勇気が出た礼を言って
その日はサヨナラしました。


Hちゃんに告白を決意し、場所とムードの力を借りないと告白できない
僕は、毎年ある花火大会の日に想いを伝えることにしました。

Mと会った翌日、早速Hちゃんと会って花火を一緒に見ようと誘ってみました。
すると彼女は喜んでOKしてくれましたが、人が混雑している所は
苦手なので、なるべく人が少ない所で見たいとの要望がありました。

僕はしまったと思いました。
当初、花火が大きく見える人気の場所で見ようと思っていまして、
当然そこは人で混雑しており、毎年場所取り合戦の修羅場が繰り広げられています。

そんな場所では彼女は嫌がるだろうし、これじゃあ場所とムードの
パワーを借りることがない!と内心焦っていると
彼女がうちで一緒に見ませんか?と、とんでも発言をしてきました。
実は僕達はまだ一度もお互いの家に行ったことがなく、
家族構成とか基本的なことは紹介していませんでした。

とても彼女の家、その他もろもろに興味はありましたが、
彼女の家だと親もいるだろうし、緊張して告白どころでは
なくなるんじゃないかと、どうしようか迷っていましたが、
「あたしの部屋のベランダからよく花火が見えるんです。
それに親がちょうど旅行でいないし気まずいことはないと思いますよ」
と、彼女が付け足してきました。

何だこの漫画みたいなおいしい展開はと思いましたが、
彼女の家で一緒に花火が見れる最高のシチュエーションが用意されている
ならば当然断る理由もなく、今度は僕が喜んでOKしました。

そして花火大会当日、彼女と待ち合わせしてHちゃん宅へ向かいました。
向かう途中、仲良く手を繋いだカップルと何度かすれ違い、
彼女の手を握ってみようかと思いましたが、結局彼女の手を握ることが
出来ず、何も出来ないまま彼女の家に着いたチキンな僕でした。

おじゃましますと言って家に上がらせてもらい、彼女の部屋に向かいました。
ここがHちゃんの家かと思うと、よくわかんないけど感動しました。
Mの家に初めて入れてもらった時は、特に感動とかしなかったのになー。
Mちゃんごめんね。

とりあえず花火の時間まで、まだ余裕があったので適当に雑談していました。
暫らくすると彼女が御腹減りませんかと聞いてきたんで、
減った!と無駄に元気に答えると、簡単なものならご飯つくれますけど
食べますか?と頬を赤くしながら聞いてきました。

僕はもちろん喜んでお願いしました。
手伝うことはないかと尋ねてみましたが、特にないから大丈夫です、
Nさんは部屋で適当にくつろいでいて下さいと言って彼女は
部屋を出て行きました。

何だか今日の彼女は積極的で、彼女も何かしら期待しているのではないか
と思うとたまらない気持ちでいっぱいでした。
これなら告白は成功するんじゃないかと1人舞い上がっていましたが、
ドアがノックされてふと我に返りました。

返事をするとドアが開きました。するとHちゃんかと思いきや
全く知らない女性が現れ、数秒二人で「誰コイツ?」って感じで
ポカーンと見詰め合っていました。


どう切り出そうか迷っていると彼女がはっと思い出したように
「あの、もしかしてNさんですか?」と尋ねてきました。
僕が「はいそうです。」と答えると、彼女はぱあっと笑顔になり
「うわー、やったーNさんだ。ずっと会いたかったんですよ!」と
嬉しそうに部屋に入ってきました。

すると僕の目の前に座り「初めまして、あたしHの妹のYっていいます。」
と自己紹介してきました。「妹さん?」僕は驚いて聞き返すと
彼女はニッコリ頷き返しました。
確かに彼女は顔立ちやルックスがHちゃんに似ていて、
さすがHちゃんの妹、かなりかわいい子でした。

これが美人姉妹ってやつか・・・。ていうか妹いるなら言っておいてよ。
とりあえず自己紹介もすんだんで何故僕に会いたかったのか
聞いてみました。

「お姉ちゃんNさんに友達がいないってこと相談していたと
思うんですけど、あたしも以前からお姉ちゃんの相談に
乗って上げてたんです。お姉ちゃん毎日がつらい、ほんとの友達が
ほしいっていつも言ってました。相談受ける度に私が大丈夫だよって
励ましてたんですけど、Nさんも初めてお姉ちゃんの悩み事聞いたとき
こんな感じだったでしょ?」
僕は大きく頷きました。

「それでいつの日だったかな、あたしが自分の部屋でくつろいでいでたら、
お姉ちゃんがいきなりあたしの部屋に飛び込んで泣きながら
抱きついてきたんですよ。あたしもすごくビックリして
どうしたの?学校でやなことされたの?って聞いたんですよ。
そしたらお姉ちゃん顔中ぐしゃぐしゃにして泣きながら、
『友達ができたよー』って。」
妹さんはその時のHちゃんの泣き顔を真似しました。

「その後お姉ちゃん、わーんって大声で泣き続けたんですよ。
あたしお姉ちゃんが泣き止むまでずっと背中さすってあげました。
よしよし、よかったねって。何か姉と妹の立場逆ですよね。

で、その日からお姉ちゃんだんだん元気になっていって、
いつからか、喋ることはずっとNさんのことだけ。
今日は映画見に行ったとか、一緒にカラオケに行ったとか、
永遠に喋るんですよ?友達っていうより彼氏自慢って感じ。
それで思ったんですよ、お姉ちゃんをここまで変えさせたNさんって
どんな人なのかなーって。だから会ってみたいなって思ったんです。」

何だか照れ臭くて笑っちゃいました。Hちゃんがそんなに喜んでいたとは
思いもしませんでしたし。彼氏自慢・・・。
それで妹さんに僕と会ってみてどんな印象を持ったのか聞いてみました。
そしたら「頼りなさそう!」と元気よく答えられました。
ちょっとへこみました。

その後、色々喋っていましたが、妹さんも友達と花火を見る約束をしている
とのことだったので、区切りの良いところで話をやめてさよならしました。
別れ際に妹さんが、今度はあたしと一緒に遊んで下さいと言って部屋を
出て行きました。

数分後、Hちゃんが夕食を持って部屋に入ってきました。


チャーハンを持ってHちゃんが戻ってきました。
「すいません、余った材料で作ったんですけど簡単すぎたかな・・・。」
いえいえそんな滅相もない、僕は喜んでチャーハンを食べました。
パラついてないけどうまいよー。

「そういえば妹さんに会ったよ。」
チャーハンを口いっぱいに頬張りながら言いました。
するとHちゃん「え?Yちゃんいたんですか?」とビックリしてました。
どうやらHちゃんも妹さんが家にいた事を知らなかったようで
やられたって顔をしてました。

「何か、変なこといってませんでした?」
大泣きエピソードのことが頭に浮かびましたが、
これを言ったらかわいそうだなと思ったのでてけとーに
誤魔化し話を進めました。

「妹さん結構しっかりしてるね。」
「ああ、そうなんですよね。Yちゃん中学生なんですけど
高校生のあたしよりとてもしっかりしてるんですよ。
生徒会の役員やってるし、部活の部長も務めてたし。
それにスポーツも勉強もできて友達も沢山いて・・・・
非の打ち所がないんですよ。ほんとにあたしの妹なの?っていうくらい。
何かYちゃんのほうが姉って感じ・・・、立場が逆ですよね。」
それ妹さんも言ってたな。

「時々Yちゃんに嫉妬しちゃうんですけどね。
血の繋がった姉妹なのに何でこうまで違ってるのかなって。
でもこんなこと思うのって罰当たりかな。Yちゃんにはいつも
相談に乗ってもらっていたし、もしYちゃんがあたしの妹じゃなかったら
今頃あたしどうなっていたかわかんない・・・。」

暫らく話に夢中でしたが、気づけば花火を打ち上げる時間になり、
家の外から花火のドーンという大きな音が聞こえたので
ベランダに出てみました。

Hちゃんの家は周りの家よりも一際高く、最上階にあるHちゃんの
部屋から建物や木々に隠れることなく、花火がとてもよく見えました。
「綺麗ですね・・・。」Hちゃんのうっとりした表情にドキッとしました。
そうだ、告白しなきゃ・・・・・。

僕たちは一言二言、言葉を交わしながら、次々打ち上げられる花火を
眺めていました。今までにないほどのとてもいい雰囲気で、
彼女に想いを伝えるならいましかないと思いました。
僕は告白する最後の覚悟を決め、Hちゃんに気づかれない様に軽く
深呼吸をして気持ちを落ち着かせました。

・・・・よし。

「あのさ、Hちゃん。」
「はい。」
「あの、実は・・・・」
「・・・はい」

「好き」って言葉がもうそこまできてるのに、
緊張のせいか喉につっかえてなかなか出てきません。
「その実は・・・・・」やばい、本当に出てこない・・・。
「Hちゃんのことが・・・・」がんばれ!がんばれオレ!

「好きです。」
「へ?」
「あたし、Nさんのことが好きです。あたしと、付き合ってください。」
「・・・・。」

まさかの展開で彼女から告白されちゃいました。
予想だにしなかったことなのでぽかーんって感じでした。
「え?もしかして、告白じゃなかったですか?」
彼女は顔を真っ赤にして尋ねてきました。

「いや、はい、告白です。」
「あ、そう、ですよね。良かった・・・。」
「・・・・・。」
「あの、よろしくお願いします。」
「あ、や、うん、こちらこそ・・・。」

僕も顔が真っ赤でした。状況が良く理解できませんでしたが、
死ぬほど嬉しかったのは覚えてます。
もう彼女をがばっと抱きしめて押し倒したい衝動に駆られましたが、
そこは抑えて「とりあえず花火を見ましょうか」ってことになりました。



告白した後、お互い気恥ずかしくて言葉は交わしませんでしたが、
とてもいい雰囲気でした。普段チキンな僕でもその時はノリにまかせて
軽くキスをこなせる様な気がしました。ていうかしちゃいました。

「ごめん、キスしていい?」いきなりこんな発言するものだから、
Hちゃんかなり驚いていました。でも、彼女もこの雰囲気に
押されていたのか、恥ずかしそうに俯きながら
「はい、あたしもしたいです。」とOKしてくれました。

お互い向き合い、彼女は少し顔を上げ、目を瞑ってキスを待ちました。
その時の彼女の表情ときたらとてつもなく色っぽくて
心臓が早鐘を打ちました。

そして彼女の肩をそっと抱き、ゆっくり唇を重ねました。
2、3秒の短い間でしたが僕には十分長い間キスをした感じがしました。
唇を離すと、彼女はそっと目を開け、唇に手を当て感触を確かめていました。
僕と目が合うと、彼女は恥ずかしそうに微笑み、
「キス・・・しちゃいましたね。」と嬉しそうに呟きました。

その仕草がとてつもなくかわいくて、思わずガバッと抱いてしまいました。
抱いた後、はっと我に返って直ぐ離しました。しまった、やり過ぎたかも・・・。
「ごめん、ほんっとにごめん!!」僕は直ぐ謝りました。
呆気にとられた彼女はポカーンと固まっていましたが、
「ふふっ」と小さく微笑み、静かに寄り掛かってきました。

うわっ、今日のHちゃん何か違う。
僕もさっきみたいに強く抱きしめず、優しく包むようにして抱き返すと、
彼女からふうっと甘いため息が漏れました。ああ、めっちゃかわいい・・・。

もう花火とかお構いなしに二人で抱き合ってました。
こんなに幸せになった気分は久しぶりで、
明日死んでも悔いはなしって感じでした。
いや、ごめんなさい、まだ死にたくないです。

最後に抱きながらもう一度キスをし、ゆっくりと体を離しました。
彼女は胸元でぎゅっと手を握り、深く深呼吸をしました。
大丈夫?僕がそう聞くと彼女は微笑み、「うん。」と頷きました。
ああ、本気でかわいい・・・。

その後、二人寄り添いあって花火を見ていたんですが、
突然、「ただいまー。」と声がして、ビックリした僕らは急いで体を離しました。
ドアがノックされ、現れたのはまたも妹さんでした。
えー帰ってくるのはえー。


「おじゃましまーす。お姉ちゃんうまくやってるー?」
妹さん意味深ににやり。
Hちゃんは何事もなかったように取り繕って
「もう、うまくやるって何よ」と、ちょっと怒った感じで返しました。
さっきまでの甘いムードが妹さんの乱入で、
楽しい花火鑑賞会に変更されたわけですが、
これはこれで楽しかったです。いやしかし、かなり焦った・・・。

花火も最後の一発が打ち上げられました。
ラストに相応しい大迫力の花火を作ってくれた職人さんに、
敬意を表し三人でパチパチと拍手、外からも歓喜の声が
ちらほら聞こえました。
今年も無事花火大会の幕を閉じることができました。
まあ、次の日もありましたが。

「Nさんこれからどうするんですか?」妹さんがふと聞いてきました。
Hちゃんとはもっと一緒にいたかったけど、妹さんが介入した今、
二人だけになるってことは困難に思えたので
「あんまり長居するのも悪いから帰るよ。」と、
退散することにしました。

が、ここで妹さんが一言ぽつり、
「泊まってけばいいのに・・・・。」えー!!?
「あたしもっとNさんと話したいし、お姉ちゃんもその方がいいでしょ?」
「え?!!あ、えっ・・・。」慌てるお姉ちゃん。
「それに今親いないし、いいでしょNさん?泊まってってください。」

こんなおいしい状況に置かれた男子なら迷わず泊まっていくと思うんですが、
さすがにそこまで心の準備が出来ていなかったので帰ることにしました。
泊まることを期待していたのか、Hちゃんが少し残念そうな顔をしたので、
明日も花火を一緒に見る約束をし、帰宅してから電話で明日の予定のついでに
謝っておきました。

しかし妹さんよ、以前から僕の事を聞いていたといっても、
今日初めて会ったんだから少しは警戒しようよ。僕も一応オトコですよ?
最近の中学生は皆こんな感じなんでしょうか。
時代は変わっていくのね・・・。
まだ二十歳なのに着実と時代遅れのオッサン化している僕でした。

「また来てくださいね。」妹さんは元気よく手を振り、
Hちゃんも控えめに手を振って僕を見送ってくれました。
帰り道早速Mに電話して告白の報告をしました。

「もしもしM?やったよ!付き合うことになりましたよ!」
「マジで?やったじゃん、おめでとー。Nもやればできんじゃん。」

「ありがとう、あー本当に嬉しいよ・・・。もう幸せで胸いっぱい。
この気持ちMにわかるかなー?わかんないだろうなー、
この幸せいっぱいのあたたかーい気持ちが。それっ、幸せのおそそわけ!」

「・・・は?」
「どう、届いた?」
「何か・・・・うまくいったはいったでムカつくな・・・・。」

続編:図書館で会った子2
http://moemoe.mydns.jp/view.php/4804

出典:某サイト
リンク:図書館で会った子
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